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2015年10月25日。 かねてからの念願であった(・・・は、ちょっといいすぎか)岐阜県養老町の「養老天命反転地」に行ってきた。

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こんな施設だ。といっても、何がなんだかよく分からない。

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施設は、養老の滝の下に広がる、岐阜県営養老公園の一角に設けられている。週末だったので、子供たちがのびのびと遊んでいる。いい公園だ。

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天命反転地の入り口の注意書き。家族が平和にレジャーに訪れる養老公園の一角にある、・・・にしては、なかなかに穏やかでないことも書いてある。特に下から3番目の「樹木の植えてある穴・・・云々」の注意書きは一体何を意味しているのだろう? しかもこの注意書き自体、実に控えめな表現であったことが後に分かる。

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入り口でチケットを購入し、最初に待ち受ける記念館を目指す。ちなみにこの入り口脇のミュージアムショップでは、ヘルメットと運動靴をレンタルする事ができる・・・。んん?一体何があるのだ?中には。

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記念館に突入。ん?迷路のようではあるが、こう壁が低くてはすぐに突破できてしまうではないか。

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ふと上を見て、うわあ。いきなり上下感覚逆転攻撃を受ける。

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建築家荒川修作氏によるこの天命反転地は、奇妙な地形と建築的オブジェが組み合わされた、これ自体でひとつの芸術作品として見ることができるものだ。

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記念館を出ると「昆虫山脈」。別にこれを登らなければ先に進めないと言う訳でもないのだが、これは登らずにはいられないでしょう。

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山頂。ちなみに迂回する坂道なり階段なりは設置されていない。

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まあ、そんな大した高さでもないのだが、子供たちにとってはかなりな冒険だ。

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「極限で似るものの家」と名づけられた建物。

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見上げれば椅子、壁には家具が埋まり、それらが部屋とも呼べぬ奇妙な形の仕切りの中に唐突に配置されている。薄暗い空間、複雑に傾いた床、これらが全体的にわけのわからない調和を醸し出している。

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パンフレットには各オブジェに関して、めちゃめちゃ観念的な「使用方法」が書いてある。 曰く、自分とのはっきりとした類似点を見つけるようにすること、それができなければ、この家を自分の双子だと思って歩くこと。 曰く、思わぬ事が起こったら、よく考えるためによりよい姿勢をとること。 など。 一事が万事この調子だ。

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注意書きにあった樹木の穴とはこれのことか。確かに大人でも出られなくなるな、こりゃ。

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いよいよ核心部へ攻め込む。茶色い部分は日本列島を象っている。

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白く見える部分には地図が描かれている。北京だか上海だかの地図の上を歩いていると、いつの間にやらNYになっていたりする。

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「精緻の塔」内部。 このステンレスの梯子は登ることができる。ただ単に登ることができるだけだ。 トマソンの純粋階段のような代物。

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庭園を見下ろす場所には、警備員が立っている。現在に至るまで多くの軽傷者を続出させている、アグレッシブな施設ならではだ。見ていると、この方に「これ何がおもしろいの?」などと聞いている奴もいる。「いやあ、これはゲージュツですから・・・」などと答えているが、どうせだったら「考えてはいけません、感じるのです」ぐらいの答えをしてほしかったな。

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使用法 空を、すり鉢型の地面に引き下ろすようにしてみること。

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陥入膜の径。 「通り抜けたり回ったりするときは目を閉じること」

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使用法に従いこれをやってみたのだが、構造が複雑な上に足元も傾いていて、踏み外すと急斜面を転落する危険のある場所もある。絶叫マシーンどころの恐怖ではなかった。

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この人は普段から挙動不審なのだが、ここに来た人は皆、同じようになってしまう。

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すり鉢型の庭園周囲には、万里の長城的なものが取り巻いている。

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通路は狭い。あまりに逆方向から来る人が多いので、順路を間違ったかと思いきや、実はこの道は袋小路で、必ずこの道を戻ってこなくてはならない。そういう大事な説明は当然のごとくない。 すれ違い方は人それぞれ。利用者も含めて芸術装置の一部となっているのか。

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使用法より。「しばしば振り向いて後ろを見ること。」 振り返ると広大な濃尾平野が広がっているのが見える。正常な人たちが正常な生活を繰り広げている正常な世界だ。すこし心が和む。

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和むのも束の間。再びゲージュツの奥知れぬ深い闇へとはまり込んでゆく。

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限られた狭い敷地の中にいるとは到底思えない。

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「地霊」 中では地図上の約束事を忘れること。だそうだ。

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地図上の約束事・・・かぁ。

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アタマもカラダも神経も、すべてクタクタになる。そろそろ帰ろうか、この道を通って。

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この道の名前。

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おっと、そのままわれわれが大人しく松本へ帰ると思ったかい? 養老公園を出た後、まったく逆方向へ。関ヶ原を抜けて琵琶湖岸を通り、福井県は敦賀に到着。お得意の車中泊をし、翌朝釜ヶ崎城跡へ。ここは信長大ピンチの逸話で知られている。

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釜ヶ崎神社。釜ヶ崎城は山城なので、ここから徒歩で本丸へとちょっとした登山を行う。

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車中泊した場所は、敦賀駅から港へ伸びる貨物線の終点駅近く。赤煉瓦倉庫もあったりする風情のある場所だ。

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フェリー乗り場が見える。この新日本海フェリーは、北海道の小樽との間を結んでいる。

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石灰鉱山。敦賀セメントというブランド名?で流通しているらしい。

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産業施設好きには萌える景色。萌え~。

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敦賀の街を俯瞰する。以前はこの港沿いに、赤煉瓦や白壁の蔵が「みそひともじ」、つまり、短歌の文字数と同じ31棟立ち並んでいたそうだ。海岸線奥の緑地は、「気比の松原」という、古くから知られる景勝地。

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本丸付近。この滑り台っぽいものはなんなのか?滑ろうとしても摩擦が強すぎて滑らないし、まさか落ち葉の掃き出しのためだけの設備?

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毎朝この山頂までお散歩に来ているという地元の奥様と出会い、敦賀という街について、貴重なお話を伺う。歴史の事、産業の事、そして原発の事。

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その後はドライブ。敦賀半島突端へ向かう。そこにあったのは・・・。

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原発。・・・ていうか、これは存亡の危機に立たされている「もんじゅ」だ。

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白砂、青松、原発。

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無尽蔵のエネルギーを生み出す素晴らしいアイデアに基づく、すさまじく危険な施設。この瀕死の怪物を産み出してしまったのは誰なのだろうか。胸に手を当てて考えてみる。

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付近の漁港にて。 水の透明度が高すぎて、船が宙に浮いているような写真が撮れてしまった。

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